皆さま、こんにちは。奈良県SSHコーディネーターの山田です。前回の投稿からすっかり時間が空いてしまい、申し訳ございません。屋外は猛暑真っただ中ですので、どなた様も熱中症にはくれぐれもご注意くださいませ。
今回は奈良県立青翔高等学校・青翔中学校が主催し、奈良県下及び他府県の科学技術人材育成重点枠での同校の協力校とともに実施した「サイエンス・ギャラリー」という行事を紹介します。この行事は、7月26日(土)に大阪市天王寺区の大阪国際交流センターで開催されました。会場を2つのブースに分け、現地参加の奈良県立奈良高等学校、奈良県立奈良北高等学校、奈良県立郡山高等学校、兵庫県立尼崎小田高等学校はポスター発表を、オンライン参加のさいたま市立大宮北高等学校、福島県立福島高等学校は口頭発表を、兵庫県立小野高等学校、奈良県立青翔高等学校は対面での口頭発表とポスター発表を行いました。それに対し、大阪大学、奈良女子大学、大阪公立大学、摂南大学の先生方8名、株式会社日本触媒の研究員、そして奈良県内SSH校である奈良高等学校、青翔高等学校OB・OGを中心に13名の大学院生がTAとしてご指導・ご助言をしてくださいました。いずれの学校も、普段の研究の成果を存分に発揮した発表を行い、先生方からご指導いただいた内容を、今後の活動に生かそうとしていました。当日の様子は、下の写真をご覧ください。
ところで、口頭発表やポスター発表のノウハウは次回にするとして、今回は、探究活動(課題研究)のテーマ設定の留意点についてお話ししたいと思います。これについては様々な教育研究者等が諸説唱えていますが、私の長年の教員生活、探究活動の指導から感じたのは次の3つです。
1 自分自身、または班の全てのメンバーが興味を持って取り組めるテーマか?
これが最も大切だと思うのですが、先輩が成果をあげている研究だとか、友達に誘われて仕方なくその研究にしたといった動機では、長期間の研究生活では必ずと言ってよいほど後悔することになってしまいます。教科書の実験とは異なり、探究活動では仮説どおりにならないことの方が多いです。自分たちが好きな研究ならば、多少の困難は乗り越えていけるのではないでしょうか。
2 自分たちで実現可能なテーマなのか?
自分たちが興味を持てるテーマが見つかったとして、果たしてそれは実験や観測等によって検証が可能なものでしょうか。例えば、「宇宙に果てはあるのか?」というテーマで探究活動を始めたとします。この分野の先行研究としては、世界の理論物理学者や理論天文学者が実に多くの説を唱えています。しかし、その世界の天才たちの誰もが解明できていません。また、もう少し身近な現象であっても、学校や連携可能な大学・研究機関に実験装置がない場合は難しいといえます。結果が出るまで最低5年はかかるといったものも時間オーバーです(研究を託せる後輩がいる場合は別ですが)。このあたりのことについては、担当の先生と相談してみてください。
3 社会が待ち望んでいるテーマなのか?
1と2だけでも十分なのですが、どうせ研究をするのであれば評価されたいですよね。評価される研究とは、科学研究の手法が正しいことは勿論ですが、皆が幸せになれる研究だと思います。自分たちの研究がどの様に役立つのかという意義は明確にしてください。ただ、その様な役に立つ研究の多くには先行研究が存在します。CiNiiやGoogle Scholar等を活用して、決して他の人の真似にならないよう自分たちの持ち味を生かしてください。
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ポスター発表の様子 |
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口頭発表(対面)の様子 |