皆さま、こんにちは。奈良県SSHコーディネーターの山田です。夏期休業も終了した学校もあり、先生方も生徒の皆さんもお忙しくされている時期ではないでしょうか。
さて、去る8月6日(水)・7日(木)に、SSH生徒研究発表会が神戸市で開催されました。SSH校の先生方、生徒の皆さん以外にはなじみの無い発表会だと思いますが、これは全国のSSH校が代表の1班を選出し、日頃の課題研究(探究活動)の成果を披露する大会です。奈良県内からは、県立奈良高等学校、県立奈良北高等学校、県立青翔高等学校・青翔中学校、国立奈良女子大学附属中等教育学校、私立西大和学園中学校・高等学校、私立奈良学園中学校・高等学校の6校が参加しました。初日の6日(水)は全参加校によるポスター発表が行われました。さすがに各SSH校の代表ということもあり、奈良県の6校はもちろんのこと、どの府県の学校の発表も非常に見応え、聞き応えのあるものでした。研究内容や発表の様子をもとに審査が行われ、優秀と認められた12校が7日(木)午前中の全体会で口頭発表を行いました。この口頭発表には、奈良県からは、国立奈良女子大学附属中等教育学校の「奈良県生駒市におけるツバメの給餌行動の観察と給餌内容の解析」と県立青翔高等学校・青翔中学校の「植物による血液凝固の仕組みⅣ」の2つが選ばれ、全参加者の前で堂々と発表を行いました。午後の結果発表では、国立奈良女子大学附属中等教育学校が1位の文部科学大臣賞、県立青翔高等学校・青翔中学校が奨励賞を受賞しました。
ところで、第4回のブログに引き続き、今回は良い発表を行うための私なりの秘訣を、ポスター発表と口頭発表に分けて紹介したいと思います。
1 ポスター発表を行うための留意点
ポスター発表は聴衆も多くなく、時間も発表者のペースで行えることが多いので、一見すると口頭発表に対して気楽なイメージがあるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。例えるならポスター発表は、発表会という大きなデパートの中にある1つのテナントなのです。発表が始まって少し経つと、人気のある発表とそうでない発表の聴衆の差は歴然としてきます。聴衆が集まる発表にするためには、まず見やすく分かりやすいポスターを作成することです。ポスターはA0サイズのものを2m程度離れて見てもらうことが多いですが、この場合A3サイズで打ち出して50㎝離れて見て読めるかどうか確認してください。フォントはゴシック体の方が見やすいです。内容としては、文字と図表のバランスに注意し、不必要な視点の移動をしなくてもよいように気を付けてください。次に発表ですが、聴衆との対話を心がけてください。聴衆がその分野の専門の研究者の場合と、中高生の場合とでは、発表のゴールは同じであっても、そのゴールに行きつくまでの説明は当然変わってきます。「〇〇についてはご存知ですか?」と聴衆に聞いてみることも大切です。質問に対しても丁寧な回答を心がけましょう。
2 口頭発表を行うための留意点
ポスター発表は聴衆に聞くかどうかの選択権があるのに対し、口頭発表は基本的には全員が発表を聞くことになります。そこで、聴衆を退屈させることなく、逆に興味をもって聞いてもらうためには、発表の最初に少し工夫が必要となります。まず、聴衆の興味を引くように、研究背景に身近な話題を入れてみてはどうでしょうか。また、最初に発表の流れをスライドで目次のような形で提示することも効果があると考えます。続いてスライドの作成についてですが、たまに文字がぎっしりと敷き詰められたスライドを見かけることがありますが、これはよくありません。1枚のスライドを聴衆に見せる時間は、平均30秒程です。文字が中心のスライドの場合、聴衆の注意は発表者の言葉ではなく、スライドを読むことに向いてしまいます。肝心なのは、口頭発表ではあくまでもメインは発表者が発する言葉であって、スライドはそれを助けるサブであるということです。また、これはポスター発表についても言えることですが、用意した原稿をそのまま読むのはよくありません。原稿を一言一句覚える必要はありませんが、流れを頭に入れて聴衆の方を向いて発表しましょう。最後に、発表会は分単位でスケジュールが組まれていますので、主催者に迷惑をかけないためにも、発表割り当て時間は必ず守りましょう。発表時間を有効に使用するためには、割り当ての90%の時間で終えられるように練習しましょう。こうすれば、舞台上での多少のトラブルにも焦らずに対応できます。
長くなってしまいましたが、参考にしていただけると幸いです。
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| 奈良高等学校のポスター発表の様子 |
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| 奈良北高等学校のポスター発表の様子 |
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| 青翔高等学校・青翔中学校の口頭発表の様子 |


