皆さま、こんにちは。奈良県SSHコーディネーターの山田です。9月も下旬になり、朝夕はすっかり涼しくなり、過ごしやすくなってきましたね。
さて、ご存じの方も多いと思いますが、SSHの重要な目標として「グローバルに活躍できる高度理系人材の育成」というものがあります。この度、奈良県内でその目標を具現化するために、県立青翔高等学校・青翔中学校を会場として、県内の高校生を対象にオンラインと集合型のハイブリッドで「科学技術人材育成啓発事業」を実施いたしましたので、その内容について紹介させていただきます。
今回は、去る9月17日(水)に「国際共同研究に参加した先輩の話を聞く会」、9月22日(月)に「科学オリンピックの本選に出場した先輩の話を聞く会」と2つの行事を実施しました。「国際共同研究に参加した先輩の話を聞く会」では、令和7年3月に県立青翔高等学校を卒業された3名の大学生の方から、高校在学中に行ったタイの高等学校との国際共同研究について、インタビュー形式で参加の動機や英語による発表会の印象等を語っていただきました。参加の動機としては、「外国人の友達ができる」、「新しいことに挑戦したい」といったものから、「日本では得られない視点から研究に対して多角的な意見が欲しい」といったものまで様々でした。また、参加して良かった点としては、「国や文化の違いにより新しい視点を得られた」、「英語学習の意欲向上につながった」という高校時代の体験から、「共同研究の経験が大学受験や大学入学後の留学等に役立った」という大学入学後の感想も出てきました。逆に苦労した点としては、「言いたいことを言語化できないもどかしさを感じた」、「内容が相手に伝わっているか不安であった」など、コミュニケーションの問題があったようですが、「先生や友人からのサポート」や「継続することによる慣れ」で克服できたとのことです。そして、最後に1人の先輩が語ってくれた「やらずに後悔するくらいなら、とにかくやってみることが大事だ」という言葉が印象的でした。
「科学オリンピックの本選に出場した先輩の話を聞く会」の方は、県立奈良高等学校出身で化学グランプリ本選にて銀賞を受賞された京都大学大学院在学中の先輩、県立青翔高等学校出身で日本地学オリンピック本選にて同じく銀賞を受賞された東北大学工学部在学中の先輩の2人に、インタビュー形式でそれぞれのオリンピックへの参加の動機、対策方法や本選の印象等を語っていただきました。参加の動機としては、「所属していたクラブ活動で全員が参加することになっていた」「元々興味があったところに学校一括募集があった」といったことがきっかけですが、「2年・3年と継続するにつれ得点も上昇し、意欲が高まった」ことも大きかったようです。やはりどのようなことについても言えますが、「継続は力なり」です。続いて高校生の皆さんが気になるオリンピックの対策方法については、「低学年の間は教科書や資料集を活用して、未履修範囲を克服すること。質問ができる環境を整え、演習を積むこと」「まずは過去問をチェックすること。単なる知識問題ではなく、思考問題が多いので、読解力を身に付けること。それが大学でも役立つ」といったアドバイスをいただきました。本選の印象については、化学グランプリでは「本選は実験がメインなので普段から慣れておくことが大切である」、地学オリンピックでは「自分の時はコロナ禍で無かったが、岩石や化石の鑑定試験があるので、普段から標本に親しもう」、両オリンピックに共通して「筆記については、学習を積み重ねて慣れておくことが大切」とのことでした。そして、2人の先輩が口をそろえて、「本選では交流の機会もあり、同じ志をもつ仲間ができる。それは大学に入っても続く財産である」と語っておられたのが大変興味深かったです。
どちらの会も、参加した生徒達から熱心に質問が寄せられ、大変盛会に終わりました。5名の先輩方、貴重なお話をいただきありがとうございました。
当日の様子について詳しく知りたい生徒さんがいらっしゃいましたら、各高等学校等の先生を通じて、SSHコーディネーターまでご連絡をお願いいたします。
![]() |
| 国際共同研究に参加した先輩の話を聞く会の様子 |
![]() |
| 科学オリンピックの本選に出場した先輩の話を聞く会の様子 |


